偽物講師のあふれる時代に
偽物の講師ばかりだ。
私は、最近こう思うのです。
「教えるという事が自分の学びになる」そうやって講師になる人も多いでしょう。けれども、ここには大きな落とし穴があります。それは、「自分は教える身分で教わる身分ではない」という意識の低さです。
現代では、世の中が、どんどんカジュアル化をしており、様々な働き方、様々な考え方が受け入れられるようになりました。それは良い事でしょう。けれども、ここには重大な問題となる落とし穴もある事をしっかりと認識して行動しなければ、とんでもなく間違った方向へ足を向ける事になり、それで、人生を無駄にしてしまう事にもなりかねない、という事を覚えておきましょう。
国際認定の専門家として指導者になるため、または、良い指導者を見分けるための、アドバイスを提示していきます。
そもそも指導者とは?
「先生」という定義の広さにお気づきでしょうか?今では誰もが「先生」です。この言葉の定義をまずは理解しておくと良いです。
人に教えたりアドバイスする人や、何かの専門家が、「先生」と呼ばれますが、要するに、「先に生きる」人よりも、何か知識や能力がその分野で高い、とされると、「先生」となります。
現在、以下の言葉の違いが曖昧になっているように思えます。これらには、別の意味合いがあり、役目も異なる事を知っておかないと、まずは、一流の指導者にはなれません。
- 師匠
- 教授
- 講師
- 教師
- 指導員
- コンサルタント
- アドバイザー
- コーチ
英語では以下のように表します。このような意味があります。
- Master:専門家で弟子に技術などを伝授する人
- Professor:大学などで専門分野を教える人
- Lecturer:硬い表現で、真剣に何かを指導する人、セミナーなどで登壇する人
- Teacher:学校や個人スクールなどで教本や規則通りに決められた事を教える人で、欧米では立場が低い
- Instructor:スポーツや趣味などの学びなどを教える人
- Consultant:相談役 ビジネスなどで多く使われる
- Adviser:助言する人
- Coach:指導せずに見守る人
日本では、これら全ての人が、「先生」と呼ばれますが、欧米では、”professior”の敬称がつくのは、教授のみになります。
日本の指導者は適当にこれらを利用している
日本で何かを教える、いわゆる、Instructorレベルの人たちは、これらの言葉を、「音が良い」などで適当に使いがちです。
例えば、今流行りの「コーチング」ですが、これは、アメリカで始まった新しい指導方法で、Coachingは、指導をしたり、アドバイスをしたりはしません。本人が自ら気づくように話を持っていき、その「自分で内面から」と言ったところを良しとする方針です。
これは、既にある程度の事ができ、スキルがあり、「やり方はもうわかっているがもう一歩」という人が、更に上を目指したい、と言った時に利用するものですが、日本では、逆パターンがおこなわれているように思えます。そもそも、「何をしたいかすらわからない」という人に、「何をすれば良いか気づかせてあげよう」という、方法を使っているようです。その後は、コンサルティングサービスへ移行している様です。
そうなると、この人達は、指導する先生」とは言い難いものがあります。
その他、アドバイザーは、単なる聞き役で、相談を受けて、アドバイスをする、カウンセラーの様な役割で、こちらもまた、指導者ではありません。コンサルティングは、指導もしますが、指導者というよりも、相談役、アドバイザーよりは、クライアントへ密着した相談と言って良いでしょう。
ですから、上記で、「指導者」は、Instructor以上で、更に、決められた事を教える以上の事をする人、は、Lecturer以上の人、という事になります。
指導者としての心持ちの傾向
それでは、その先生が、どの様な心持ちで、その立場にいるのか、と言ったところをお話ししていきます。勿論、人によりますが、以下の様に定める事ができます。
- Master:弟子の価値は自分の価値だから、自分ごとの様に厳しい
- Professor:専門分野に特化しており、内容が濃い
- Lecturer:指導者としての意識で情熱を持って登壇する場合が多い 但し、幅広いので、意識が人による
- Teacher:仕事として決められた事を教えているだけで情熱は低い 生徒はみんな同じ
- Instructor:好きな事、得意な事を仕事にしているので、生徒目線ではない
- Consultant:人により大きく異なる意識 ビジネス目的なので、生徒ではなく、クライアントであり、顧客の結果より自分の儲けを重要視する傾向
- Adviser:話は聞いてくれるが、結果にはつながらない
- Coach:日本の方針だと、できる人には向かない
自分が目指すのは、どこなのか?
指導者を目指すにしても、受講者を目指すにしても、どの位置を目指すか、によって、学び方が異なる事がよくわかります。
現代のプロトコールの講師は、Instructorレベルが非常に多いのです。ですから、一見、本人達は、見た目も振る舞いも美しく、講師らしいのですが、実際には、知識不足で、専門的な事をほとんど知らない、もしくは、情報が古い、内容に裏付けや歴史がない、など、知識の上では、指導者としてはイマイチであると感じます。こういう人に、教わる受講生は、おそらく、「そこそこ」のまま、「何か違う」と感じながら過ごすのでしょう。そして、やはり、ところどころで納得がいかない、間違えるなど、そんな事を繰り返してしまいます。Teacherにしても同様で、決められた事だけを深く考えずに、一方的に指導しても、やはり、受講生の心には響かない、という事になるのですね。
真の指導者になるには、Lecturer以上を目指すこと
指導者を目指す人たちに、いつも申し上げますのは、Instructor やTeacherにはならず、その道の専門家として指導する人を目指すように、と申します。
ICPAには、スペシャリスト認定がありますが、スペシャリストとは、専門家、のことで、エキスパートとは、更に上をいった専門家の事です。専門家になるのに、数日の講義でなれる訳がないのです。
指導者としての心持ちから学び、思考力や、教える事の、深い精神部分、人の心の読み方、自分自身の立ち振る舞いを、上品から威厳へ変えること、など、一般の受講生とは異なる、知識や振る舞いが必要になります。思考学、人間学、心理学、脳科学、などの知識と、威厳という、立っているだけでも「先生」である事がわかる、着こなしや振る舞いが必要である、そして、自分に対しても受講生に対しても決して甘すことはなく、ぶれない強い精神力、そんなものも、必要になってくるのが、指導者なのです。
年数を超えて初めて叶える事ができる
ICPAでは、講師の経験がある人でも、試験に通らなければ、一般プログラムからスタートして頂き、スペシャリストプログラムへ上がる事ができないシステムを設けています。そうしなければ、講師を目指す人が真面目に学ばず、その被害は、その受講生へ及ぶからです。
人が、しっかりと考え、頭と心を使い、知識と振る舞いで日本人として誇りを持って国際人となる、そんな指導者の要請をしています。
指導者を目指す方々には、この件を、しっかりと心に留め、どんな道を目指すにせよ、意識を高く持って頂きたいと願っているところです。
以下の受講生は、入門の時、「この先生は普通の先生と違う」と感じたそうです。