序章
このたび、ICPAの「日本ソーシャルマナー・プロトコール スペシャリスト資格プログラム」を修了された、モニカ・ラボシエール(Monika Labossiere)様よりご感想文をお寄せいただきましたので、ご紹介いたします。
モニカ様は現在チェコ共和国にお住まいで、主に西洋式のエチケット・プロトコールを専門とするエチケットコンサルタントとしてご活躍されています。日本文化への深いご関心から本プログラムを受講され、2025年9月から2026年3月までの約半年間、白馬先生のもとで日本の礼儀作法や文化、その背景にある思想を学ばれました。
そして特筆すべきは、モニカ様がチェコ共和国において初めてICPAスペシャリスト資格を取得された方であるという点です。これにより、モニカ様はチェコ国内において、日本ソーシャルマナーを指導する資格を正式にお持ちになりました。
ICPAのスペシャリスト資格は現在、世界各国で取得者が着実に増えております。資格取得後は、実際にご自身でこのプログラムを開催していただくことが可能となり、母国で最初の、あるいは唯一の資格取得者となることも十分に実現可能です。
そんなモニカ様から届いた、心のこもったご感想文をぜひご覧ください。
ICPAでの学びの旅を振り返って
9月にICPAスペシャリスト資格プログラムに入学したとき、私を突き動かしていたのは、専門家としての探究心と、かねてより抱いていた日本への敬愛でした。主に欧米のマナーとプロトコールを専門とするエチケット・コンサルタントとして、私はそれまでに二度日本を訪れており、その文化、伝統、そして暮らしのあり方に絶えず魅了されてきました。訪れるたびに、旅行者として目にできるもの以上を理解したいという思いが募っていったのです。
私は一旅行者としての視点を超え、日本社会を形づくる価値観、慣習、そして社会的な原理について、より深く理解したいと願っていました。それは自らの知識を豊かにするためだけでなく、日本を訪れる、あるいは日本の方々と関わるクライアントをより的確に支えるためでもありました。ある文化を理解するには、その慣習を学ぶだけでは足りず、それらの慣習に意味を与えている心のあり方と哲学を理解することが必要だと、私は考えています。
9月から3月にわたるプログラムを通じて、私は白羽先生のご指導のもとで学ぶという栄誉に恵まれました。毎週、日本の文化、礼節、そしてものの考え方について新たな気づきがありました。とりわけ印象に残ったのは、いずれの主題も、規則や形式をはるかに超えて掘り下げられていたことです。私たちは、日常の交流や人間関係の根底にある文化的原理を探究し、日本において「何が」なされるのかだけでなく、「なぜ」そうするのかをも理解することができました。
数ある学びの中でも、二つの概念がとりわけ深い感銘を私に残しました。「和」と「おもてなし」です。
日本における「和」(調和)の概念は、人間関係とコミュニケーションについての私の考え方を根本から変えました。多くの欧米社会では、成功はしばしば、際立つことや個を主張することと結びつけられます。このプログラムを通じて、私は異なるものの見方を知ることができました。すなわち、真の偉大さは往々にして、均衡を生み出し、相互の敬意を育み、全体に良い形で寄与することのうちにある、ということです。調和とは受け身のものではありません。それには、気づき、共感、自制、そして他者への思いやりが求められます。この理解は、私の職業上の視点のみならず、コミュニケーションと人間関係に対する個人的な姿勢にも影響を与えました。
同じく心を打たれたのが、日本ならではのもてなしのあり方である「おもてなし」の概念です。私が学んだのは、もてなしとは単に客に提供される奉仕ではなく、相手を気遣う真摯な心の表れであり、相手の求めを先んじて察することなのだ、ということでした。ごく些細な所作にまで込められた心配りには、目を見張るほどの敬意と細やかさが表れています。マナーの分野に携わる者として、私はこの哲学をとりわけ意義深く、また自らの仕事に通じるものと感じました。
この旅で得た最も貴重な学びの一つは、コミュニケーションが必ずしも言葉を必要とするわけではない、という気づきでした。日本の文化は、観察すること、機微を感じ取ること、そしてその場の空気を読む力を、たいへん重んじます。このプログラムを通じて、私は、所作、沈黙、間合い、そして場の文脈への感受性が、語られる言葉と同じほど確かに意味を伝えうることに、より深く気づくようになりました。それは人と人との関わりについてのより繊細な理解へと私の目を開き、最も意味深いコミュニケーションのいくつかは言葉を超えたところに生まれるのだと、改めて気づかせてくれました。
白羽先生の深い知識、献身、そして日本文化を伝えることへの情熱は、毎回の授業を魅力的で忘れがたいものにしてくださいました。歴史ある伝統と今日の実践とを結びつけられるそのお力は、文化的な概念を、日々の暮らしに活かせる生きた学びへと変えてくださいました。この旅を通じてのご指導、ご厚情、そして励ましに、心より感謝申し上げます。
振り返ってみますと、このプログラムが与えてくれたものは、文化の知識にとどまりませんでした。それは、調和、敬意、心配り、そして他者への真心からの思いやりをはじめとする、日本文化の根底にある原理への、より深い理解をもたらしてくれました。これらの学びは、マナーやエチケットに関する私の専門的な理解のみならず、人と人との関わりについての個人的な視座をも豊かにしてくれました。
このような知識を、惜しみなく、そして誠実に分かち合ってくださった白羽先生とICPAの皆様に、心より感謝申し上げます。私の学びはひとまず区切りを迎えましたが、日本文化とそれが体現する価値への私の敬愛は、これからもきっと深まり続けていくことでしょう。プログラムは美しい修了式をもって締めくくられ、私はその時間を心から楽しみました。それは、この旅の終わりを記すにふさわしい、意義深く忘れがたいひとときであり、とりわけ、乾杯とともにこの折を皆様と祝うことができたことに、深い感動を覚えました。
著:モニカ・ラボッシエール(チェコ)
(日本語訳はご本人のご了承のもと、ICPAが作成いたしました)
