重要な場面では日本語より英語を使った方が良い理由(専門家の研究に基づく)

異文化コミュニケーション理論・言語学・エチケット・プロトコールの専門家として、なぜ私が「日本人とコミュニケーションをとる際に、日本語より英語の方が良い」と述べたのか、その背景を学術的観点からご説明いたします。以下に主な論点を示します。

実際、この主張は「英語がいかに実用的であり、世界共通語として適しているか」を示すものであり、日本語の特性を理解し、それを踏まえて英語を活用することで、より円滑なコミュニケーションが可能になることを意味します。これは特に、日本人と交流を望む海外の方々、特に英語を母語とする方々にとって、非常に有益で実用的な知見となるでしょう。

日本語の文化的背景と構造

日本人に対する誤解は「思いやり」から生まれる

日本人は、多くの場面において「わかりました」や「検討いたします」といった返答を用います。 これは社会的あるいはビジネス上の礼儀としての表現であり、本来の意味は「同意」を意味することもあれば「不同意」を意味することもあります。 実際、日本人同士であっても、その場で即決することはほとんど不可能に近いのが実情です。 したがって、外国人が「すぐに返事をもらえるはずだ」と期待することは、大きな誤解を生む原因となります。 最大の問題は、「早く解釈しようとする焦り」にあります。それが、数多くのポジティブな機会を逃す原因ともなっているのです。

日本人の「察する」コミュニケーション技術(本音を読む力)

多くの場面において、日本人は「わかりました」や「検討いたします」といった表現を、社会的あるいはビジネス上の礼儀として用います。 これらの表現の本来の意味は、時には「賛成」を意味し、また時には「反対」を意味することもあります。 実際のところ、日本人同士であっても、その場で即決することはほとんど不可能に近いのが現実です。 したがって、「即座に決断できるはずだ」と考える外国人の方々は、しばしば誤解を招くことになります。 本質的な問題は、「相手の意図をすぐに解読しようとする焦り」にあります。 そのような焦りは、多くの前向きな機会を自ら手放してしまう原因となるのです。

日本人は信頼構築に時間をかけ、対立を避ける

一方で、即答することが「軽率」「いい加減」「真剣ではない」「不審」と受け取られるのではないか、という配慮から、あえて「一度持ち帰らせていただきます」といった表現をするのも、日本独自の礼儀の一つです。 これに対し、「なぜすぐに答えないのか」と詰め寄れば、「文句を言う人=礼儀知らず」とみなされ、かえって信頼を失い、かつては承認されていたプロジェクトが即座に却下されるという事態すら起こり得ます。 日本人は一見親しみやすく見えるかもしれませんが、同時に厳格で柔軟性に欠ける一面も持ち合わせています。

日本語は「言外の意味を読む」ことを前提とした感情言語である

日本語は、直接的かつ論理的な言語ではなく、非常に感情的な性質を持っています。 これは、日本が一万年以上にわたって大切にしてきた「非言語文化」の精神と深く関わっています。

実際、私たち日本人でさえ、日本人同士の日本語コミュニケーションに困難を感じることが少なくありません。 特に地域が異なる場合、感覚の違いから言葉の意味がまったく異なって受け取られることもあります。 そのため、日本語には「共通語(標準語)」が存在し、ビジネスの場では関東標準語を用いることが求められます。 これは、日本語内の誤解を避けるための措置であり、英語が「世界共通語」とされる理由と同様の機能を果たしているのです。

これは、単なる言語学習では身につかない、深い文化的理解に基づくスキルであり、日本語を用いる上で極めて重要な資質といえるでしょう。

英語の文化的背景と構成

直接的な英語 vs 間接的な日本語

一方で、英語は多くのローコンテクスト文化に属する言語であり、もともとは外交のために構築された理論的かつ合理的な言語です。 スラングや曖昧な言い回しを避ければ、誰にとっても理解しやすい、実用的かつ論理的な言語といえるでしょう。

英語の文法 vs 日本語の文法

文法的な構造において、英語は以下のような定型パターンで構成されます: SV(主語+動詞)、SVC(主語+動詞+補語)、SVO(主語+動詞+目的語)、SVOO(主語+動詞+目的語+目的語)、SVOC(主語+動詞+目的語+補語)。 このように文法構造を満たすことで、意味が成立します。 たとえば「do」「be ~ing」「will」などの語を用いるだけで、話している内容が現在のことか未来のことかが明確になります。

一方、日本語では、現在・未来・過去のいずれにおいても、同じ動詞形を用いることがあり、文脈に頼らざるを得ません。 そもそも、動詞が省略されることも珍しくありません。 日本語の語順は、文法的な正しさよりも感覚的な自然さに基づくことが多く、形式的な場面においてもその傾向が見られます。 また、英語と同じ語順で発話されることも多くあります。 主語・動詞・目的語のいずれか一つだけが提示されることも一般的であり、日本人同士であっても意図が不明確なことは珍しくありません。 そうした中で、互いに確認し合いながら意思疎通を図るのが日本語のコミュニケーションです。

このように、英語はメッセージが非常に明確であるため、非常に有用な言語です。 日本人にとっては、直接的に答えることに心理的な負担を感じることがありますが、英語を使う際には明確な返答を心がける傾向があります。

敬語の重要性に関する違い

英語にも敬意を表す表現は存在しますが、日本語の敬語とは異なり、英語では接頭語句や丁寧な語彙、前置きのフレーズとして用いられるのが一般的です。 たとえそれらを誤って使用したとしても、相手にとって多少「失礼」と感じられることはあるかもしれませんが、個人的な侮辱とまでは受け取られにくい傾向があります。 特に英語話者の多くは、「失礼な扱いを受けたこと」に対して率直に反応を示す文化があるため、謝罪や誤りの説明によって問題が解決することがほとんどです。 (もちろん、英語を母語としない方がこの機会を見逃すこともありますが、それでも相手が感情的に動揺する可能性は低いといえます。)

英語が世界標準語にふさわしい理由

英語がリンガフランカ(共通語)として適している理由の一つは、日本が国内で非言語的なコミュニケーションを重視していた一方で、大陸諸国では異なる言語を用いて交流を行う必要があったという歴史的背景にあります。 英語の起源であるラテン語系言語を含むこれらの国々では、古くから他国との往来が日常であり、外交を成功させるためには「意思疎通の欠如」を回避することが絶対条件でした。

日本語の感情言語としての歴史

日本語は感情的な言語であり、日本人は感情を重視する

日本語が感情的な言語であるという認識がなければ、日本人との間で感情面での誤解や摩擦が生じる可能性があります。 多くの外国人は「日本人が感情的だなんて信じられない、自分の知っている日本人は感情を表に出さない」と感じるかもしれません。 しかし、日本人は感情を直接的に表現することをあまりしません。これ自体が日本独自の礼儀作法であり、外交的なスキルでもあるのです。

漢字・カタカナ・ひらがなと語順

日本語は、中国から導入された漢字に加え、ひらがなとカタカナという二種類の音節文字を併用する言語です。 大和朝廷の時代(3世紀中頃)には、漢字の音読みと訓読みが併存して使われるようになりました。 『日本書紀』は漢字の音読みによって書かれたのに対し、『古事記』は漢字の訓読みによって記述されています。 この訓読みの言葉は、単なる中国語の翻訳にとどまらず、当時の日本人が日常的に使用していた「大和言葉」としても定着していました。 つまり、日本語を読み解き理解する力は、日本人とのコミュニケーションにおいて極めて重要な能力であるといえます。

したがって、日本語を読み、理解する能力は、日本人とコミュニケーションをとる上で非常に重要である。

参考文献:file:///Users/muratamari/Downloads/kyoyo92_tanaka_osa.pdf

日本語は「話す・聞く」よりも「読む」言語である

西洋人は、伝えたいことを明確に表現することを非常に重視します。

これは英語を中心とする言語文化の大きな特徴であり、多くの外国人にとって日本語との誤解の原因となる重要な違いでもあります。

一方、日本人は「メッセージを受け取ること」をより重要視します。

つまり、自分が話すよりも「聞く」ことに重きを置き、「読む」力に非常に優れているという特徴があります。 日本人のコミュニケーションはとても静かであり、ときには言葉を交わさずとも通じ合う「沈黙の対話」が行われることもあります。 わずか一言二言で本質を伝え合う――そんな高い「察する力」を備えているのが、日本語を母語とする人々の特徴です。

重要な会話は英語で行う方が誤解が少ない理由

もちろん上記の理由だけでは十分ではありませんが、いくつかの観点から、 重要な話題においては、両者が英語を使って会話する方が誤解が少なく、より信頼性の高いコミュニケーションにつながるといえます。他の言語でも対応は可能ですが、英語は「リンガ・フランカ(国際共通語)」としての機能に加え、 構造が明確かつ論理的に整理された言語であるため、グローバルな対話には特に適しています。もちろん、これは相手も英語を理解し話せることが前提です。

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